見失ったバージンロード

荒れ果てた家を前にメラニーはため息をついた。
恋人が妻帯者だとわかり、姉の勧めで祖母の遺した海辺のコテージに滞在することにした。
もう二度と恋などしたくはないから、人里離れたこの家は今の私にはきっとぴったりね。
家の掃除を始めたメラニーは、玄関のドアを叩く見知らぬ男性の姿に驚く。
侮蔑の表情を浮かべているものの――なんてハンサムなのかしら。
男性は荒れた庭に我慢がならないのだと言う。
手入れを手伝うという申し出を、メラニーは思わず受け入れるが……。
ダフネは十年ぶりに砂漠の国に降り立った。
二十歳のとき、婚約中のムラト皇太子の前から姿を消したのは、将来の王妃という重圧に押しつぶされたからだ。
彼がプリンスだなんて知らなかったのだ。
彼は私を追いかけてもこなかった。
長い月日が流れ、ムラトが姪のブリタニーに結婚の申し込みをするという。
まだ十代の姪に同じ気持ちを味わわせるわけにはいかない。
ところが、ムラトと話もしないうちに護衛に取り囲まれ、ダフネは今は使われていないハーレムに囚われてしまった。
スコットランド貴族の娘アン・マリーはイングランド最北の地に幽閉されていた。
彼女は父親が敵国に差し出した人質だったのだ。
小さな城の、塔のいちばん上の部屋で、彼女は息を殺すようにして生きてきた。
ある晩、いつものように十字架に向かって祈りの言葉を唱えたあと、唯一の窓である細い石壁の隙間に顔を近づけ、外を覗いた。
「どうか」彼女は言った。
「どうか自由の身になれますように!」声が天に届いたのだろうか、その瞬間、夜空に流れ星が光った。
嵐の夜、ニーナはエプロンをはずし、パーティの客の輪にまぎれこんだ。
そこへ飲み物を手に一人の男性が現れる。
アレックス・ベネット――石油王で独身のプレイボーイ。
彼に誘われるがまま、ニーナは夢のようなダンスを楽しんだ。
でもこれはひとときの幸せ。
しがないウエイトレスと億万長者では身分が違いすぎるのだから。
自分に言い聞かせ、姓も告げずにその場を立ち去ったものの、思いもよらない場所で、ニーナは彼に再会した。
ケリーは初めてのときめきを覚えていた。
バーで知り合ったフォードはたくましく優しく、まさに理想の男性だったのだ。
彼にならすべてを捧げられるかもしれない……。
伯父グラントにかけられた祖父殺害の容疑をはらすため、フォードはケリーを誘惑しようと決意した。
祖父の愛人だった女なら、声をかければすぐになびき、情報を得られるだろう。
彼はセクシーな笑みを貼り付け、ケリーに近づいた。
続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60012149